Papers and Abstracts

論文・講演抄録

WOW 培養における発生率向上に 寄与した培養胚数とパラクライン 効果の関係

学術集会 一般演題(口頭発表)

2016年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:渡邊 紘之1)・中山 要2)・辻 暖永1)・浅野 恵美子1)・福永 憲隆2)・浅田 義正2

1) 浅田レディース勝川クリニック
2) 浅田レディース名古屋駅前クリニック

Abstract

【目的】

WOW dish は受精卵を個別に管理しながら同一Well 内でグループ培養し,オートクライン,パラクライン効果による培養成績の向上を目的として開発された.当院ではこれまでにWOW dish(LinKID 培養dish,DNP)を用いた連続培養(WOW培養)により,drop 培養と比較して培養成績が向上することを報告してきた(渡邊他,福永他,2014日本生殖医学会).本研究ではWOW培養における培養胚数と培養成績の関連性を検証することを目的として,異なる培養胚数での胚培養成績を算出し,drop 培養との比較を行った.

【対象と方法】

2014年6月-2015年12月に当院で採卵し,胚盤胞培養を行った936周期を対象とした.培養胚数ごとにWOW培養のa 群(-5個,217周期) ,b 群(6-10個,457周期),c 群(11-15個,81周期),d 群(16-20個,37周期),e 群(21- 25個,22周期)の5群を実験区として設定し,dr op 培養のa` 群(- 5個,41周期) ,b`群(6-10個,63周期),c`群(11-15個, 10周期),d`群
(16-20個, 5周期),e`群(21-25個, 3周期)の5群を対象区として設定した.WOW培養はグループ培養で培養液交換を行わず,drop 培養は単一胚培養でDay3,5での培養液交換を行った.
培養成績はDay5での良好胚盤胞率を比較し,Gardner 分類で3BB以上の胚を良好胚盤胞とした.統計解析にはKruskal-Wallis 検定を使用し,培養胚数と培養成績の相関解析にはCochran-Armitage 検定を使用した.

【結果】

良好胚盤胞率はWOW培養ではa,b,c,d,e 群でそれぞれ35.5%,37.3%,39.7%,45.5%,48.2% で,a-d,a-e,b-d,b-e,c-e 群間に有意差(p<0.05)が確認できた.drop 培養のa`,b`,c`,d`,e` 群ではそれぞれ37.5%,35.4%,39.4%,36.3%,31.1%で,各群間に有意差は確認できなかった.WOW-drop培養間ではe-e`群間で有意差(p<0.05)が確認できた.
また,Cochran-Armitage 検定により,WOW 培養では培養個数の増加に伴い有意(p<0.01)に培養成績が向上することが確認できたが,drop 培養では同様の結果は確認できなかった.

【考察】

本研究の結果から,WOW培養では培養胚数の増加と培養成績の間に正の相関があることが確認できた.また,培養胚数が16個以上の実験区で培養胚数が少ない実験区と比較して培養成績が有意に向上することが確認できた.培養成績の向上には,培養胚数の増加にともなう培養密度の上昇により,胚培養に効果的なパラクライン因子の濃度が高まることが寄与していると考えられる.

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