Papers and Abstracts

論文・講演抄録

POIで妊娠に至った症例

学術集会 一般演題(口頭発表)

2018年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:西村 美希・木下 勝治・野々口 耕介・人見 裕子・田畑 慧・田村 明日香・田村 出・石川 弘伸・山口 剛史・渡邉 由美子・渡邉 浩彦

醍醐渡辺クリニック

Abstract

早発卵巣不全(POI)の症例では排卵誘発をしても卵胞が育たないことや採卵までに時間を有することも多い。当院ではGnRHa点鼻薬(以下点鼻薬)の長期投与とhMG投与の排卵誘発、またクロミフェンとhMG投与の排卵誘発を行い妊娠に至った症例を経験したので報告する。

【症例1】31歳、AMH0.10ng/mL未満、FSH84.0IU/L。IVF2回目、Kaufmann療法を2周期行うもFSH低下せず。点鼻薬投与後、小卵胞を認めた時点でhMGを連日投与しcd71の採卵において、卵子を1個回収したがGVの為IVMへ、翌日MIIとなりICSI施行、Day5胚盤胞で凍結保存。ホルモン補充周期に移植し妊娠成立、3416gの女児を出産。

【症例2】37歳、AMH 0.10ng/mL未満、FSH50.71IU/L。IVF3回目、cd3にて小卵胞確認した時点で点鼻薬、hMGの投与を開始するもcd8に卵胞確認できず、hMG投与を中止し点鼻薬のみ継続。cd65にて再び小卵胞確認した為hMGを投与開始。cd70に採卵、MⅡ1個回収しICSIを行った。Day6にて胚盤胞となった為凍結保存。ホルモン補充周期に移植し妊娠成立、3200gの女児を出産。

【症例3】35歳、AMH 0.10ng/mL未満、FSH33.91IU/L。IVF2回目、cd3より点鼻薬開始しcd31に小卵胞確認した為hMG投与開始。cd40に採卵、MⅡ1個回収、ICSI行うも胚盤胞にならず。その後プレマリンにて誘発するも胞状卵胞は出現せず。点鼻薬投与後cd15に小卵胞確認しhMG開始。cd33に採卵、MⅡ1個回収しICSIを行い、Day5にて胚盤胞獲得。新鮮胚移植し妊娠成立、2960gの男児を出産。

【症例4】34歳、AMH 0.10ng/mL未満、FSH 35.03IU/L。IVF5回目、自然発育で様子をみた後、cd22で小卵胞を確認しクロミフェンの服用を開始。cd29よりhMG 投与を開始した。cd34に採卵、MⅡ1個回収しICSIを行いDay5で胚盤胞を獲得。新鮮胚移植し妊娠成立、3384gの男児を出産。

【症例5】27歳、AMH0.30ng/mL。無月経の為他院にてKaufmann療法していたが、結婚後挙児希望となり不妊治療開始。IVF4回目、Kaufmann療法を2周期後、cd3に小卵胞確認しクロミフェン服用とhMG投与開始。cd13に採卵、MⅡ4個回収、ICSIを行いDay6にて胚盤胞となった為凍結保存。ホルモン補充周期に移植し妊娠成立したが、GS確認後に流産。

【考察】GnRHaの長期投与による排卵誘発はPOI症例に対して有効である可能性が示唆された。また、クロミフェンを用いることで短い誘発期間でも妊娠例を確認できたことから、POI症例に対する誘発方法の選択肢が広がり患者への負担も減らすことができる可能性が示唆された。

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