O-6 DuoStim法により良好な凍結成績を得られた1例
2020年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:森下 みどり・貫井 李沙・小宮 慎之介・浅井 淑子・姫野 隆雄・井上 朋子・森本 義晴
HORAC グランフロント大阪クリニック
Abstract
【背景】
近年,不妊治療患者の高齢化に伴い,卵巣機能低下や胚質不良などの要因で採卵するも凍結できない反復不成功患者が増加している.若年癌患者の妊孕性温存を対象としたランダムスタート法では, 採卵数・ 良好胚数,染色体異常率など,通常の体外授精と変わらない結果となっている.近年,通常体外受精でも同様に黄体期に卵巣刺激・採卵を行 うことで採卵数や凍結胚数が増加すると報告されている.今回, 当院 にて Duo Stim法での採卵を行い,良好胚盤胞を凍結できた症例を経 験したため報告する.
【症例】
44歳女性.4経妊1経産.43歳時に当院初診, 初診後自然妊娠するが流産となり, その後より体外受精を開始した.AMH1.73ng/ml 採卵5回施行するが良好胚盤胞は凍結できず, 凍結融解分割期胚移植を 2回施行したが妊娠成立せず.6回目の卵巣刺激中に,17mmまで発育した卵胞を認めたが他に10mm 以下の小卵胞を多数認めたため,Duo Stim法での採卵を提案し希望された.hCG 注射を行い,36時間後に主席卵胞1個を採卵.MⅡ卵1個, 体外受精で受精,Day3胚1個(Mo) を凍結した.1回目の採卵2日後に診察を行い,HMG注射とGnRHア ンタゴニスト経口薬を卵胞径が18㎜になるまで投与し,1回目の採卵と同様に採卵を行った.採卵数6個,MⅡ卵6個, 体外受精で4個受精, Day3胚1個(G1b9), 胚盤胞2個(BL4AB,BL4BB)を凍結した.2回目の採卵で良好胚盤胞を凍結できたため,次周期も同様の方法で採卵を希望された.1回目の採卵で採卵3個,MⅡ卵3個,体外受精で3個受精, 胚盤胞3個(BL3AA,BL5BB,BL4BB)を凍結.2回目の採卵で採卵5個, MⅡ卵5個, 体外受精で3個受精, 胚盤胞2個(BL4BB,BL4BB)を凍 結した.今後凍結融解胚移植を行っていく予定である.
【考察】
高齢女性での不妊治療では, 良好な胚を獲得するのに時間がかかり 治療期間が長引く可能性が高い.今回,DuoStim法を使用することで 1回の月経周期での採卵個数・凍結個数を以前の周期と比較して増や すことができた.また,良好胚を凍結できたことにより,治療期間を短 くできる可能性もあると思われる.