Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-26 単一胚盤胞移植の成績と人工知能の画像分析法を適応させたiDAScoreとの関係性

学術集会 一般演題(口頭発表)

2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:田中 啓子・水本 茂利・渡辺 瞳・長尾 洋三・戸野本 知子・仲宗根 巧真・奥田 紗矢香・後藤 美緒・一木 巴惠・伊賀 淑穂・蔵本 武志

蔵本ウイメンズクリニック

Abstract

【目的】
現在,Vitrolife 社から人工知能(AI)が分析する新しい胚評価ツールとしてiDAScoreが提供されている.iDAScoreは深層学習と3次元畳み込みニューラルネットワークを用いて開発されており,115,000を超えるフルシーケンスのタイムラプス画像分析に基づき着床の可能性のある胚の特徴を識別する.さらに,完全自動で一貫性があり,人によるアノテーションも不要のため効率的である.本研究ではiDAScore の有効性について,当院基準の形態的胚評価法によって実施した単一胚盤胞移植の結果をもとに検討を行った.
【対象および方法】
当院においてEmbryoScope+を用いて胚を培養し,2018年5月〜
2019年1月に単一胚盤胞移植を行った303周期(平均年齢35.7±3.4
歳)を対象とした.移植胚の選択は当院の形態的評価,Good, Fair,Poorで行い,ART 反復不成功症例は除外とした.iDAScoreを
9.9-9.0,8.9-8.0,7.9-7.0,6.9-6.0,5.9以下に分け,それぞれの臨床成績,並びに当院胚盤胞のグレードの内訳を調べた.さらに胚のグレード毎に臨床的妊娠(以下CP)の有無,妊娠継続の有無での
iDAScoreを分析した.
【結果】
検討対象の303周期における移植胚のグレードはGood 胚116周期,
Fair 胚163周期,Poor 胚24周期でありCP 率は59.1%であった.iDAScoreの平均値は8.4±1.1(9.7-3.1,中央値8.7)であり,CP率はiDAScoreが上がると高くなる傾向が見られた.特に9.9-9.0での
CP率は72.6%と最も高く,その他のスコアと比較し有意な差が見ら
れた(P<0. 05).i DAScor e 毎の胚盤胞のグレードの内訳はスコアが上がるほどGood 胚,Fair 胚の占める割合が高く,Poor 胚の割合が低くなった.胚のグレード毎にCPの有無でのiDAScoreを比較した
ところ,Good 胚,Poor 胚では両群におけるiDAScoreに差は見られなかったもののFair 胚においてはCPに至った胚が有意に高い値を示した(平均値8.5±0.7vs 8.2±0.7,P<0.05).しかし,妊娠継続の有無においては胚盤胞のグレードに関わらず,iDAScoreに有意な差は見られなかった.
【結論】
iDAScore が上がると形態良好胚盤胞の割合が多くなりCP 率も高
くなった.現時点では形態的な胚評価とiDAScoreの間に大きな差
はみられなかったが,Fair 胚の妊娠胚において高値が得られたこと
から今後の精度向上が期待できる.

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