Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-26 胚盤胞の形態学的評価と直径による凍結胚選択基準の検討

学術集会 一般演題(口頭発表)

2023年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:星井 彩花・水本 茂利・長尾 洋三 ・渡辺 瞳・田中 啓子・小柳 沙織・奥田 紗矢香・後藤美緒・伊賀 淑穂 ・大坪 可奈子・蔵本 武志

蔵本ウイメンズクリニック

Abstract

【目的】
2022年4月から不妊治療における保険適用が開始された。ARTでは移植回数の制限があるため、妊娠率の高い胚を選択することが重要になった。当院ではこれまでに胚盤胞の直径と形態評価の検討を行い、直径が大きくなると妊娠率が向上する傾向があることを明らかにしている(九州・沖縄生殖医学会2021)。そこで本研究では胚選択基準向上のためサイズを細分化し胚の形態評価との関係性を調べた。
【方法】
2018年5月から2022年3月に、Day5胚盤胞の単一融解胚移植を受けた治療初回の患者911名を対象とした。形態評価は当院基準のA、A’をGood胚、B、B’をFair胚、CをPoor胚と分類した。また。直径は凍結前に測定を行った。なお、当院ではGardner分類3CC以上の胚盤胞を凍結している。本検討では、直径190µm以上(XL群)、180µm以上190µm未満(L群)、170µm以上180µm未満(M群)、170µm未満(S群)に分けグレードごとの割合を比較した(検討1)。また胚の形態評価と直径が臨床的妊娠率(CP率)に及ぼす影響について比較した(検討2)。
【成績】
(検討1)Good胚の割合はXL群、L群、M群、S群でそれぞれ70.0%(217/312)、55.9%(94/168)、39.1%(70/179)、26.6%(67/252)となり、XL群がL、M、S群より有意に高くなった。一方、Fair胚の割合は、それぞれ29.5%(92/312)、42.9%(72/168)、55.9%(100/179)、64.7%(163/252)となり、XL群がL、M、S群より有意に低くなった。Poor胚においてもFair胚と同様の傾向がみられた。
(検討2)XL群におけるGood胚、Fair胚、Poor胚のCP率はそれぞれ68.7%(149/217)、67.4%(62/92)、66.7%(2/3)となった。各グレード間で有意な差は見られず、Poor胚でもGood胚と同等のCP率が得られた。L、M、S群においては形態評価の高い胚の方が高くなる傾向が見られ、S群においては、Poor胚18.2%(4/22)と比べてGood胚55.2%(37/67)、Fair胚45.4%(74/163)が有意に高くなった。特にAランクは66.7%(2/3)となり、XL群と同等のCP率が得られた。
【結論】
Day5のGardner3以上の凍結胚選択基準として、Good胚なら直径の大きさに関わらず凍結し、Poor胚であっても直径190µm以上であれば凍結を考慮する必要があることが示唆された。

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