Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-25 当院における採卵時未成熟卵子の体外受精成績および凍結融解胚移植後の成績

学術集会 一般演題(口頭発表)

2022年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:植村 碧1)・寺田 堅斗2)・ 3)・立花 亮太2)・ 3)・真柄 栄梨2)・東本 誠也2)・西岡 美喜子2)・4)・前沢 忠志2)・4)・池田 智明2)・3)・4)・武内 大輝2)・3)

1) 三重大学医学部附属病院
2) 三重大学医学部附属病院高度生殖医療センター
3) 三重大学大学院医学系研究科産科婦人科
4) 三重大学医学部附属病院産科婦人科

Abstract

【目的】
卵巣刺激周期において成熟卵を得る際に,ホルモン剤等により
成熟刺激にさらされているにも関わらず,採卵時に未成熟卵子が得
られることがある.当院では採卵当日中に成熟した卵子に対して顕微授精を実施している.一方で,成熟が遅延した卵子由来の胚は,異数性が増えることが報告されている.そこで,卵子の成熟の遅延が,受精,発生,妊娠および生産などの成績に影響を及ぼすのか,後方視的に検討した.
【方法】
2019年1月~ 2022年6月にかけて採卵を行った周期のうち,採卵時に成熟卵子と未成熟卵子の両方が得られた147周期を対象に,採卵時成熟卵子と当日中に成熟した卵子の体外受精成績(顕微授精
の受精率,分割率,良好胚盤胞率)および移植後の成績(臨床妊
娠率,生産率)を比較した.
【成績】
採卵時にMⅡであった卵子(MⅡ卵)(n=725)の受精率は88.6%,採卵時にMⅠであった卵子(MⅠ卵)(n=255)は67.5%,MⅡ卵の分割率は87.3%,MⅠ卵は64.6% ,MⅡ卵の良好胚盤胞率は35.9 %,MⅠ卵は14.2%であった.受精率,分割率および良好胚盤胞率はMⅠ卵に比してMⅡ卵で有意に高い結果となった(P<0.05).そのうち凍結融解胚移植に至った胚はMⅡ卵が129個,MⅠ卵が23個であった.臨床妊娠率はMⅡ卵で37.2%,MⅠ卵で26.1%,生産率はMⅡ卵で45.8%,MⅠ卵で66.7%であり,統計学的有意差は認められなかった.また複数回凍結融解胚移植をおこなった患者(n=16)の中で,MⅡ卵とMI 卵どちらも移植したことのある方の成績を比較したところ,臨床妊娠率はMⅡ卵で35.1%,MⅠ卵で26.1%,生産率はMⅡ卵で35.3%,MⅠ卵で66.7%であり,統計学的有意差は認められなかった.
【結論】
採卵時に未成熟である卵子は,成熟した卵子と比べ,体外受精
後の成績が有意に低下することが示された.一方で,臨床妊娠および生産率には有意な差は認められなかった.このことから凍結融解胚移植において,採卵時の卵子成熟度は,良好胚盤胞胚を用いた移植後の成績に影響しないことが示唆された.

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