Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-25 胚盤胞径および形態による移植胚選択基準の再考

学術集会 一般演題(口頭発表)

2023年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:河知 美佳・伊木 朱有美・野手 健造・長谷川麻理・坂井 和貴 ・鍋田 基生

つばきウイメンズクリニック

Abstract

【目的】これまで多くの施設で、初期胚は主にVeeck分類、胚盤胞は主にGardner分類を用いて胚を形態的に評価し、評価が最も良好な胚が優先的に移植胚として選択されてきた。現在では、タイムラプスインキュベーターを利用し発育過程を確認して評価するなど、様々な情報が選択基準として用いられている。今回我々は、従来の形態的評価による移植胚の選択基準が有用であるかを再検討するため、当院で単一凍結融解胚移植に用いた胚盤胞の直径と形態を評価し、臨床成績との関連性を後方視的に解析した。
【方法】2021年1月から12月までに当院にて採卵から5日目に凍結した胚を使用して単一凍結融解胚移植を実施し、臨床妊娠の成否が得られている469周期を対象とした。胚盤胞凍結時の直径と形態をタイムラプスで評価し、A~D群とした。A群(180μm以上かつBB以上の形態良好胚)、B群(180μm以上かつBB未満の形態不良胚)、C群(180μm未満かつBB以上の形態良好胚)、D群(180μm未満かつBB未満の形態不良胚)に分類し、これらを移植した後の臨床妊娠率、出生率との関連性を検討した。
【成績】単一胚盤胞移植に用いた胚の直径は正規分布を示した。胚盤胞の直径と臨床妊娠率、出生率との関係は、胚盤胞の直径が大きいほど臨床妊娠率、出生率ともに高くなる傾向であった。胚盤胞の直径および形態で分類し比較すると、臨床妊娠率はA群49.2%、B群30.2%、C群32.0%、D群11.4%となり、出生率はA群32.6%、B群18.7%、C群20.0%、D群4.5%となった。180μm以上かつ形態良好胚盤胞である場合は、その他と比べ、臨床妊娠率、出生率ともに有意に高かった (p<0.01)。また、180μm以上かつ形態不良胚の場合と180μm未満かつ形態良好胚の場合に有意な差は認められなかった。
【結論】今回の解析結果より、従来の形態的評価による移植胚選択の基準が有用であることが確認されたことから、今後も胚盤胞径および形態の評価を移植胚選択の判断基準の一つとして採用したいと考える。

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