Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-23 Biopsy 後の胚収縮形態は凍結融解成績に影響を及ぼすか?

学術集会 一般演題(口頭発表)

2022年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:末永 めぐみ・篠原 真理子・上拾石 富士代・脇野 弓穂・山本 芳樹・岩下 夢美・日髙 直美・伊藤 正信・松田 和洋

松田ウイメンズクリニック

Abstract

【目的】
PGT-Aの臨床研究の始まりに伴い,Biopsy 後の胚を凍結する
機会が増えた.当院はD4 に透明帯(ZP)にレーザーにて10μmの
穴をあけ,その後Hatchingした胚にBiopsyを行い,1時間以内に凍結を行っている.Biopsy 後の胚は収縮するが,Hatching 部分がZP 内に全て収まる胚もあれば,細胞がZPに挟まれた状態で収縮している胚もある.そこでBiopsy 後の胚の収縮形態が凍結融解後の成績に影響を及ぼすのか,後方視的検討をおこなった.
【方法】
2020年から2021年の期間に当院にてBiopsy 後,凍結を行った
27症例41周期76個の胚盤胞を対象とした.凍結時の収縮形態別に
ZP 内に細胞がすべて収まっているshrink 群,細胞質の一部がZP
に挟まれているcrack 群の2群に分類した.検討1ではHatching の収縮形態に影響を及ぼしている要因について検討した.検討2で
は2群間の融解後の再拡張率,ならびに正倍数体と判定された凍
結融解胚移植周期における臨床妊娠成績を比較した.
【成績】
検討1では患者年齢,Biopsy実施日の割合は2群間で違いを認
めなかった.Hatching 時のZP 開口幅はshrink 群35.2±10.9μm,
crack 群30.6±10.5μmと有意差は認められなかった.Biopsy 前の
ICMの位置をZP 外側,内側,狭間に分けて比較したところ,ZP
外側にICM が存在した胚は全てcrack 群であった. 狭間では
shrink 群,crack 群の比率は同等であった. 内側での比率は
shrink 群が71%と高い傾向であった. 検討2 での再拡張率は
shrink 群87.8%,crack 群92.6%と同等であった.しかしTEグレー
ド別に比較した再拡張率はグレードA ,Bの順にshrink 群100%,
78.6%,crack 群100%,86.7%とどちらの群もグレードAと比較し
てグレードB が低下していた. 臨床妊娠率はshrink 群68.4%,
crack 群62.5%と同等であった.
【結論】
Hatching 時のICMの位置によりBiopsy 後の胚の収縮形態は影
響を受ける可能性が示唆された.しかし収縮形態に関わらず,融解後の再拡張率や臨床妊娠率は同等であったことから,Biopsy 後の収縮形態を移植胚の選択基準の一要因とする必要は無いと考える.

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