O-23 若年乳癌患者における妊孕性温存治療の動向の検討
2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:花田 哲郎1)・加来 翔志2)・木村 文則3)・北澤 純1)・森宗 愛菜1)・岸田 和美1)・伊津野 美香1)・辻 俊一郎1)・村上 節1)
1) 滋賀医科大学産科学婦人科学講座, 2) ひらかたART クリニック, 3) 奈良県立医科大学産科婦人科学教室
Abstract
【目的】
当院では, 2013年1月よりがん患者の妊孕性温存治療を開始し,(未受精)卵子凍結, 胚凍結, 卵巣組織凍結をそれぞれの症例に応じて行っている. 今回, 乳癌患者における妊孕性温存の受療状況を解析し, 患者背景や患者の受ける説明が妊孕性温存治療の選択に与える影響について検討することとした.
【方法】
2015年6月から2018年6月の期間に当院のがん・妊孕外来を受診した乳癌患者38人を対象とし, 妊孕性温存の受療状況と受療者の治療内容を後方視的に検討した. 本研究は当院倫理委員会承認のもとで行った.
【結果】
期間内に当院のがん・妊孕外来を受診した乳癌患者は38人 ( 未
婚者18人,既婚者20人) で, 年齢は25-45歳 ( 平均36.3歳) であった. 全ての患者は生殖医療医から十分な説明を受けた上で, 妊孕性温存治療の有無および内容を選択した. 治療を選択したのは30人(78.9 %) で, 卵子凍結のみが6人, 胚凍結 ( 卵子凍結との併用を含む) が17人, 卵巣組織凍結が7人であった. 既婚患者では15人 (75% ) が胚凍結を選択したが, そのうち5人 (33.3 % ) は卵子凍結を併用した.
【考察および結論】
今回の検討で, 当院のがん・生殖医療における受療内容は, 患者
背景に基づく生殖医療医からの説明に影響されることが明らかに
なった. がん・生殖医療医にとっては, がん・生殖医療の治療成績
の変遷を常に注視し, それを患者に説明することで適切な治療選択
をしてもらうことが重要である.