Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-23 胚発生スピード別のGardner分類及びiDAScoreのeuploid率

学術集会 一般演題(口頭発表)

2023年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:清水 雅司・白井 美希・安田 忠頼・織田 文香・野中 百香・坂本 朱華利・高田 彩音・加藤 万里子・飯田 日南・村田 泰隆

ARTクリニックみらい

Abstract

【目的】胚盤胞評価は主観的な形態評価とともに胚発生スピードが重視されてきたが、近年、AI解析による客観的な胚評価の1つとしてiDAScore(Vitrolife)が報告されている。当院でPGT-A解析した胚盤胞について胚発生スピードを含めたGardner分類及びiDAScoreのeuploid率を後方視的に検討した。【方法】2020年から2022年5月、EmbryoScope+(Vitrolife)にて胚培養を行い、PGT-A解析結果の得られた168症例882個(PGT-A開始時の年齢39.2歳±3.9)のday5及びday6胚盤胞を対象とした。Gardner分類はG1:AA/BA、G2:AB/BB、G3:C評価含むの3グループに分けた。iDAScoreは1.0-9.9の数値で表され9.9が最も良好となる。iDAScore ver1.0を使用し、D1:9.5以上、D2:9.0-9.4、D3:8.5-8.9、D4:8.0-8.4、D5:7.9以下の5グループに分けた。検討①では、day5G1~G3及びday6G1~G3のeuploid率を比較した。検討②では、day5D1~D5及びday6D1~D5のeuploid率を比較した。検討③では、day5G1におけるD1~D5のeuploid率を比較した。【成績】検討①Gardner分類におけるday5胚盤胞のeuploid率はG1:42.7%(102/239)、G2:20.1%(55/273)、G3:12.7%(9/71)だった。day6胚盤胞ではG1:37.2%(35/94)、G2:19.0%(20/105)、G3:12.0%(12/100)だった。day5 day6ともにG1がG2及びG3よりも有意にeuploid率が高く(p<0.01)、胚評価が良好なほどeuploid率に高い傾向が見られた。検討②iDAScoreにおけるday5胚盤胞のeuploid率はD1:61.5%(16/26)、D2:33.6%(80/238)、D3:22.5%(43/191)、D4:22.0%(18/82)、D5:18.8%(9/48)だった。day6胚盤胞ではeuploid率はD1:0.0%(0/0)、D2:0.0%(0/0)、D3:23.1%(3/13) 、D4:36.2%(17/47) 、D5:19.3%(47/244)だった。day5ではD1がD2~D5よりも有意(p<0.01)に、D2がD3~D5よりも有意(p<0.05)にeuploid率が高かった。day6ではiDAScore9.0以上は存在せず、D3~D5に差はなく一定の傾向も見られなかった。検討③day5G1におけるiDAScore別のeuploid率はD1:62.5%(15/24)、D2:42.7%(67/157)、D3:35.4%(17/48)、D4:28.6%(2/7)、D5:33.3%(1/3)だった。day5G1ではiDAScoreが高いほどeuploid率に高い傾向が見られた。【結論】Gardner分類ではday5とday6で同等の形態評価であればeuploid率に差はなく、評価が良好なほど高いeuploid率が得られたことから、胚発生スピードよりも形態評価を優先する移植胚選択が有効だと考えられた。一方、iDAScoreではday5において9.0以上でeuploid率が有意に高くなっていく傾向があるものの、day6においてiDAScoreは euploid率をまったく反映していなかった。day5ではD2とD3(8.5以上9.5未満)、day6ではD5(8.0未満)に解析胚数が集中しており、iDAScoreはeuploid率とは無関係に胚発生スピードが強く反映されるスコアリングであることが予想された。iDAScore単独では移植胚選択せず、胚発生スピード及び従来の形態評価と組み合わせてより妊娠の可能性の高い胚盤胞を選択する第2指標として有用な可能性が示唆された。

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