O-2 モザイク胚の発生プロセスの探索
2022年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:山本 桜子1)・中野 達也1)・佐藤 学1)・中岡 義晴1)・森本 義晴2)
1) I VF なんばクリニック
2) HORAC グランフロント大阪クリニック
Abstract
【目的】
PGT-Aでは胚盤胞から5-10個程の細胞を生検する解析方法が主流であるが,胚盤胞には一部の細胞の染色体構成が異なるモザイク胚が生じる.現在,モザイク胚の発生原因としては,初期卵割時の染色体の分配エラーが考えられている.しかし,どの時点でモザイク胚が発生しているかはまだよくわかっていない.そこで本研究では,初期卵割時の異常卵割と初期卵割の所要時間がモザイク胚へ影響をもたらすのかをタイムラプスシステムを用いて後方視的に検討した.
【方法】
2020年4月~ 2021年12月に,同意を得て一般体外受精または顕微
授精施行後PGT-Aを行った99周期279個の胚盤胞を対象とした.胚観察はタイムラプスインキュベーター(CCM-iBIS, ASTEC)を用いて,15分間隔で撮影を行った.解析結果から正倍数性と異数性とも モザイクの3群に分け,検討1では初期卵割異常を認めた胚の割合を
それぞれ比較した.検討2では第一卵割,第二卵割の所要時間をそれぞれ比較した.検討3では第三卵割の所要時間をそれぞれ比較した.
【成績】
検討1では初期卵割異常を認めた胚の割合は,正倍数性と異数性と
モザイクそれぞれで有意な差はなかった(20.4% vs15.5% vs13.3%).検討2では,第二卵割において正倍数性vsモザイク,異数性vsモザイクでモザイク胚に遅延が認められた(10.0h vs12.8h, 10.5h vs12.8h,p<0.05).検討3では第三卵割の所要時間は3群間で有意な差はなかった.
【結論】
以上のことから,胚のモザイクは第二卵割の過程で生じていると
考えられた.