Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-18 MⅡ期狭小囲卵腔卵子は受精能および胚発育能が低い

学術集会 一般演題(口頭発表)

2022年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:塩谷 仁之・飯塚 千明・岡部 美紀・中野 俊・杉浦 朝治・明石 佐奈子・山内 久美子・小島 勝志・藤田 真紀・高橋 敬一

高橋ウイメンズクリニック

Abstract

【目的】
採卵後卵子には囲卵腔が極めて狭いMⅡ期卵子(狭小囲卵腔卵
子[narrow perivitelline space: NPVS])が一定数確認されるが,
受精能,胚発育能の報告は少ない.NPVSの顕微授精後の成績を
評価した.
【方法】
2018年1月から2021年10月までに顕微授精(PIEZO-ICSI)を行った,11,149個のMⅡ期卵子を対象とした(平均年齢36.1±4.8歳).細胞質と透明帯の間に充分な囲卵腔がなく,NPVSと判断された卵子(n=570)と,囲卵腔が認められた卵子(non-NPVS, n=10,579)の受精能,胚発育能,移植成績(単一胚移植)を比較した.ロジスティック回帰分析で患者背景を調整したオッズ比(aOR)を算出した.
【成績】
Non-NPVSと比べNPVSでは顕微授精後の変性率(6.1% vs 9.1%,
aOR=1.52[1.12–2.06])が高く, 正常受精率(75.0% vs 70.7%,
aOR=0.77[0.64–0.93]),分割率(97.7% vs 95.8%, aOR=0.52[0.31–0.87]), 胚盤胞形成率( グレード≧ CC: 45.8% vs 32.2%, aOR=0.56[0.45–0.70], グレード≧ BB: 33.8% vs 23.1%, aOR=0.59[0.46–0.76])はNPVSで低くなった(全てp<0.01).臨床妊娠率(43.1%vs 31.1%, aOR=0.52[0.22–1.22], p<0.13)に有意差はないが,NPVSのグレードAA 胚以外では妊娠例がなく(0%, n=0/15),グレードAA胚のみで妊娠が確認された(58.8%, n=10/17).
【結論】
NPVSでは受精,分割,胚盤胞形成の各発生過程において成績
が低い.またグレードAA 胚以外では妊娠例がないことから,移植
胚選択においても指標となる可能性がある.

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