O-16 第一子と第二子妊娠時で子宮内膜受容期(着床の窓)に差違があったと考えられた1症例
2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:人見 裕子・野々口 耕介・木下 勝治・田中 亜理佐・田村 明日香・小川 優紀・久保田 健・田村 出・山口 剛史・渡邉 由美子・石川 弘伸・渡邉 浩彦
醍醐渡辺クリニック
Abstract
子宮内膜受容能検査(ERA)の登場に伴い子宮内膜の胚受容期(いわゆる着床の窓:1implantation window)に個人差が存在することが明らかとなり,ホルモン補充(HR)周期における胚移植の時期を検査結果から個別に設定し,反復着床不全の治療成績を向上させようとする試みが拡がりつつある.しかしIWが開く時期には個人差はあるものの経時的な変化は少ないと考えられており,同一症例で複数回のERA 検査が行われることは一般的ではないが,今回第一子と第二子の妊娠時で胚受容期に差があったと思われた症例を経験したので報告する.
【症例】
26歳 ホルモン補充周期(HR)でFETにて胚盤胞(4BB)を施行
し妊娠反応陽性,39週3日女児(2578g)を出産した. 30歳 第二子を希望しHR法で胚盤胞(4AA)を移植するも妊娠判定陰性であった.再度HR 法で胚盤胞(3AA)を移植するも化学流産であった.第一子妊
娠後に胚受容期に変化が生じた可能性を考え改めてERA 検査を施行したところ,Pre-Receptive(受容期前)となった.ERA 結果に合わせてHR 法で胚盤胞(4BA,4BC)を移植したところ妊娠反応陽性,胎嚢を確認できたが5週流産となった.再度ERA 結果に合わせてHR法で良好胚盤胞(4BA)を移植したところ妊娠反応陽性となり現在妊娠継続中である.
【考察】
同一症例でも第一子妊娠時と第二子希望時では子宮内膜の胚受容
期がずれる可能性がありうるため,第二子の反復着床不全においてもERA 検査の施行を検討すべきと考えられた.