Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-14 クロミフェン周期後分割胚移植の内膜厚別妊娠率の検討-新鮮胚移植と凍結胚移植の特徴-

学術集会 一般演題(口頭発表)

2023年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:米山 剛一・嶋村 純・藤城 栄美・香川 愛子 ・田中 理恵子・針金 幸代 ・寺田 光二郎・伊藤 訓敏・家田 祥子 ・貝嶋 弘恒

みなとみらい夢クリニック

Abstract

【背景】当科における分割胚移植において新鮮胚移植と凍結融解胚移植では、自然周期、レトロゾール周期では臨床的妊娠率に大きな差は認められなかった。しかし、クロミフェン周期のみ凍結融解胚移植の方が高い臨床的妊娠率を呈した。
【目的】クロミフェン周期採卵後の分割胚移植において子宮内膜厚が臨床的妊娠率に与える影響を新鮮分割胚移植、排卵後凍結融解分割胚移植の各々に分け検討し、その特徴を把握する。
【方法】当院にて2019年1月1日から2023年4月30日までにクロミフェン使用による新鮮分割胚移植あるいは採卵周期以降の周期に排卵後凍結融解分割胚移植を施行し、ブセレリン酢酸塩によるトリガー時、および移植時の両者の内膜厚を測定し得た周期を検討し、子宮内膜厚が臨床的妊娠に与える影響を検討した。ホルモン補充周期は除外した。
【成績】新鮮分割胚移植周期は235周期あり、症例の平均年齢は、35.7(24.0-46.0)歳、平均採卵回数は1.5回、平均の移植回数は0.9回であった。症例全体の臨床的妊娠率(胎嚢出現率)は、23.4%であった。移植時子宮内膜厚別の臨床的妊娠率は、内膜厚8.0-10.0mm:15.8% (n=38)、10.1-12.0mm (n=117):21.4%、12.1-14.0mm (n=74):25.7%、14.1mm以上(n=6):83%であった。また、トリガー時の子宮内膜厚別の臨床的妊娠率は、内膜厚7.0mm未満:17.6% (n=51)、7.1-8.0mm:24.2% (n=91)、8.1-9.0mm:16.7%(n=36)、9.1-10.0mm :34.3%(n=35)、10.1mm以上:27.3% (n=22)であった。媒精別ではregular法で25.4%、顕微授精23.8%であった。他方、排卵後凍結融解分割胚移植は512周期認められ、症例の平均年齢は、34.8(25.0-45.0)歳であった。症例全体の臨床的妊娠率(胎嚢出現率)は、38.5%であった。移植時子宮内膜厚別の臨床的妊娠率は、内膜厚8.0-10.0mm:32.0% (n=97)、10.1-12.0mm (n=289):37.0%、12.1-14.0mm (n=125):44.8%、14.1mm以上(n=1):100%であった。また、トリガー時の子宮内膜厚別の臨床的妊娠率は、内膜厚8.0mm未満:41.9% (n=31)、8.0-8.9mm:35.2%(n=128)、9.0-9.9mm :37.0%(n=108)、10.0-10.9mm:39.5% (n=114)、11.0-11.9mm:35.6% (n=45)、12.0-12.9mm:45.8% (n=48)、13.0-13.9mm:35.3% (n=17)、14.0mm以上:38.1% (n=21)であった。
【考察】トリガー時の子宮内膜厚別の臨床的妊娠率に注目すると新鮮分割胚移植では、9.0mm以上で臨床的妊娠率が30%代に上昇した。他方、凍結融解分割胚移植では、トリガー時の子宮内膜厚が8.0mm未満でも41.9%の臨床的妊娠率を呈した。この差が全体的な臨床的妊娠率の差に反映されているものと思われた。
【結論】クロミフェン周期後の分割胚移植における臨床的妊娠率は、新鮮分割胚移植では23.4%、凍結融解分割胚移植では、38.5%であった。この臨床的妊娠率の差異は、凍結融解分割胚移植ではより薄い内膜厚でも臨床的妊娠が認められることにあると考えられた。

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