Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-13 SNVジェノタイピングを用いた1PN由来胚盤胞の染色体解析

学術集会 一般演題(口頭発表)

2022年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:後藤 優介・寄田 朋子・梶田 新・戸水 桐子・原田 祐紀・近藤 希衣・永井 徹・和田 龍・向田 哲規

広島HART クリニック

Abstract

【目的】
受精判定時に前核を1個のみ認める1PN 胚は,正倍数性の胚が
存在するという報告や,正常な分割経過を経て,移植後妊娠出産
に至った報告も多くあるが,形態的な観察のみではUPD を含む1
倍体などの倍数性異常の可能性を完全に排除できないため,臨床
上の取り扱いは慎重に行わなければならない.そのため通常の
PGT-Aに用いる異数性CNV解析では,倍数性の異常の検出には
限界があり,今回1PN 胚由来胚盤胞について異数性解析に倍数性
解析(SNVジェノタイピング;SNV)も併用し臨床上の有用性を検討したので報告する.
【方法】
本研究に同意が得られ廃棄予定となった1PN由来胚盤胞21個に
対してNGSによる解析を行った.21個のうちIVF 胚は10個,ICSI胚は11個だった.胚培養・観察にはVitrolife 社のEmbryoScope+
を使用し,IVF 症例は媒精後4時間から,ICSI 症例はICSI 直後
から採卵5日目もしくは6日目まで培養観察を行なった.NGS 解析はVarinos 社に委託し,倍数性解析にはSNVを用いた.
【結果】
解析した胚の前核面積はIVF 胚が756.0±91.7μm²,ICSI 胚
746.8±137.9μm² であった. 異数性解析の結果はIVF 胚が
Normal:6個(60.0%),mosaic:1個(10.0%),Abnormal:3個(30.0%),ICSI 胚はNormal:6 個(54.5%),mosaic:1個(9.1%),Abnormal:4個(36.4%)だった.SNVジェノタイピングによる倍数性解析の結果は,IVF 胚が2倍体:9個(90.0%),1倍体:1個(10.0%),ICSI 胚は2倍体: 5個(45. 5%), 1倍体: 6個(54. 5%)だった.
【結論】
本検討から1PN 胚において正倍数性の胚が存在することが確認
された.NGS による通常のCNV 解析では倍数性異常の判定はY
染色体を有する場合などを除いて判定できないため,SNVを用い
た倍数性解析を併用することでより正確な判定が可能となる.また近年はタイムラプスインキュベーターで培養を行うことにより従来の定点観察より正確な受精判定が可能になっているが,形態観察だけでは倍数性異常の判定は困難であり,倍数性解析を含めた染色体解析は1PN 胚の移植の可否を決めるうえで重要な判定方法であると考えられる.

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