Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-13 日本IVF学会による黄体補充のアンケート調査

学術集会 一般演題(口頭発表)

2023年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:東口 篤司

札幌エンドメトリウムリサーチ

Abstract

[目的] 日本IVF学会は2013年に当時のARTにおける黄体補充の実態を調査するため第1回目のアンケート調査をおこない、2017年には4種類のP4腟剤が出そろってから1年が経過した時点で黄体補充がどのように変化したか調査するため第2回目のアンケート調査をおこなっているが、今回、2023年3月末の時点で不妊治療の保険適用が始まってから1年が経過し、また最近発生している薬剤供給の滞りが国内のARTにおける黄体補充にどのように影響しているかを調べるため、2023年6月に第3回目のアンケート調査をおこなった。
[方法]日産婦ART登録施設623施設にオンラインでアンケート調査を実施した。
[成績]132施設(21.2%)から回答があった。1施設からの回答に不明な点があり131施設からの回答を分析した。
施設あたりの卵胞ホルモンの新鮮胚移植/凍結胚移植における使用率(%)は、E2貼付剤:22.1/90.1、マイクロナイズドE2:7.6/38.2、結合型エストロゲン:5.3/21.4、経口避妊薬:3.1/3.1、エステル型E2経口剤:2.3/7.6、E2ゲル剤:0.8/16.0、エステル型E2注射薬:0.8/3.8だった。
施設あたりの黄体ホルモンの新鮮胚移植/凍結胚移植における使用率(%)は、P4膣剤:53.4/84.0、ジドロゲステロン:37.4/49.6、P4経口剤:23.7/37.4、クロールマジノン酢酸エステル:14.5/25.2、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル:9.9/13.0、P4注射薬:5.3/9.2、経口避妊薬:3.1/2.3、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル:1.5/3.8、自家製P4膣剤:0.8/0.8だった。
のべ治療周期あたりの(同一の1周期に2種類の薬剤を併用した場合、のべ周期は2周期と計算されている)卵胞ホルモンの新鮮胚移植(のべ3272周期)/凍結胚移植(のべ57769周期)における使用率(%)は、E2貼付剤:79.7/70.3、結合型エストロゲン:7.6/9.0、経口避妊薬:5.9/1.5、エステル型E2注射薬:3.0/2.3、マイクロナイズドE2: 2.5/11.3、エステル型E2経口剤:1.3/3.9、E2ゲル剤:0.03/1.6だった。
のべ治療周期あたりの黄体ホルモンの新鮮胚移植(のべ10170周期)/凍結胚移植(のべ74736周期)における使用率(%)は、P4膣剤:37.5/47.9、ジドロゲステロン:18.9/14.9、P4経口剤: 16.3/17.4、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル:9.9/3.0、クロールマジノン酢酸エステル:7.8/14.5、自家製P4膣剤: 6.9/0.04、経口避妊薬:1.4/ 0.5、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル:1.3/1.2、P4注射薬 :0.3/0.6だった。
使用時期に関しては卵胞ホルモン、黄体ホルモンとも妊娠8~9週にピークが認められた。
[結論]2017年のアンケート調査の結果に比較すると、卵胞ホルモン製剤では貼付剤が多く、黄体ホルモン製剤ではP4膣剤が多い点では変わりなかった。一方、注射薬のホルモン製剤が激減し、P4経口剤が増加していた。

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