Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-12 採卵時の局所麻酔使用における痛みの軽減を目指して

学術集会 一般演題(口頭発表)

2023年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:藤井 美喜・下村 紫・青木 愛・江夏徳寿・苔口昭次・塩谷雅英

英ウィメンズクリニック

Abstract

【目的】採卵時の疼痛緩和の方法は、静脈麻酔、局所麻酔、鎮痛剤内服などがある。当院では局所麻酔の使用経験は10年以上に及び、現在では調節卵巣刺激後の採卵時の麻酔時の約半数以上の患者に使用している。採卵時の痛みの程度を分析することで、今以上の疼痛軽減をすることを目的とした。【方法】 2022年12月~2023年1月に局所麻酔で採卵を受けた患者に対しアンケートを実施した。局所麻酔薬は塩酸メピバカインを使用し、23Gの穿刺針を用いて経膣超音波下に膣壁から左右卵巣近傍腹膜下に浸潤させる方法を用いている。採卵時と採卵後の疼痛変化をNRSスコア(Numerical Rating Scale)を用いて分析した。【成績】計224名から回収した(回収率58.0%)。平均年齢は38.0(±4.7)歳、平均麻酔使用量は7.0(±2.5)ml、平均採卵所要時間7.8(±3.3)分、平均卵胞穿刺数11.2(±8.8)個であった。局所麻酔方法の選択については「自分が決めた」57.1%、「医師が決めた」34.4%であった。採卵時の痛みはNRSスコア5.5±2.5、採卵後は3.8±2.9に減少した(p<0.01)が、39.7%の患者が採卵後も下腹部の痛みが続いていた。採卵時の痛みと卵胞穿刺数の関係はy = 0.5061x + 8.7841、R² = 0.3257で正の相関がみられた。また、卵胞穿刺数13個以上の時、強い痛み(NRSスコア7~10)であった。採卵時の痛みは「穿刺時」84.8%が最も多く、次に「採卵直前の膣消毒」29.5%であった。採卵時の痛みは、「予想より痛くなかった」32.6%と返答していた。採卵後に55.8%の方が鎮痛剤を内服し、多くは30分以内に内服していた。また、声かけや肩をさするなどスキンシップが緊張緩和につながっていた。【結論】採卵後の痛みは有意に軽減できていたが採卵後約3割の患者に痛みが続いていたため、、採卵後の疼痛緩和を今まで以上に迅速な対応が必要である。穿刺数が増えるほど痛みが強い傾向であり、採卵穿刺数13個以上の時に強い痛みを生じていいたことから、穿刺技術の向上と静脈麻酔使用の有無を考慮していきたい。声かけやスキンシップが緊張緩和につながっていたことから、今まで以上に行うことで緊張を緩和し、疼痛緩和につなげたい。

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