O-11 採卵時,直径12mmに満たない小卵胞由来胚の正倍数性の確認
2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:小熊 惇平・岡本 琴未・佐藤 渚・小川 奈津・野尻 由香・野村 昌男・古井 憲司
クリニックママ
Abstract
【目的】
我々は採卵時に直径12mmに満たない小卵胞から採取した卵子を
胚盤胞まで培養し,移植することで生児を得ることができた6症例を
報告し,小卵胞から卵子を採取する有効性を示した(第64,65回日
本生殖医学会).本検討は採卵時の卵胞径別(特大卵胞,大卵胞,
中卵胞,小卵胞) に卵子を採取し胚盤胞まで発生させた後にPGT-A
を行うことで,小卵胞から卵子を採取する有効性を証明することを目
的とした.
【方法】
2020年1月から2021年6月までの期間に当院でPGT-Aを行い,結
果が得られた59症例214個の胚盤胞を対象とした.PGT-Aの結果は
正倍数性,モザイク,異数性の3種類に分類した.採卵時の卵胞は
直径が24mm 以上(卵胞液量7.2ml 以上)を特大卵胞,18 〜24mm未満(卵胞液量3.0 〜7.2ml 未満)を大卵胞,12 〜18mm 未満(卵胞
液量0.9 〜3.0ml 未満)を中卵胞,12mm 未満(卵胞液量0.9ml 未満)を小卵胞の4種類に分類し,各径の卵胞から採取された卵子に体外受精または顕微授精を施行し,タイムラプスシステム搭載のインキュベーターにて個別管理し胚盤胞まで発生させた.PGT-Aは胚盤胞
のみに行い解析結果を比較した.
【結果】
特大卵胞,大卵胞,中卵胞,小卵胞由来胚の正倍数性の割合はそ
れぞれ35. 3%(6/ 17),20. 8%(20/ 96),18. 6%(13/ 70),16. 7%(5/ 30)であった.モザイクの割合はそれぞれ35.3%(6/17),16.7%(16/96),20.0%(14/70),20.0%(6/30)であった.異数性の割合はそれぞれ29.4%(5/17),62. 5%(60/96),61.4%(43/70),63. 3%(19/30)であった.
【考察】
統計的な有意差は認められなかったものの,特大卵胞由来胚の正
倍数性,モザイクの割合が他の卵胞由来胚に比べ高く,異数性の割
合が低い傾向にあった.したがって,特大卵胞から採取された卵子
は妊娠率,生産率が高い可能性が示唆された.小卵胞由来胚からも
正倍数性が確認できたことから,今回のPGT-A 解析結果において
も前回の発表同様,小卵胞からも積極的に卵子を採取する意義を証
明することができた.