Papers and Abstracts

論文・講演抄録

Day3胚の形態評価について

学術集会 一般演題(ポスターセッション)

2016年度 学術集会 一般演題(ポスターセッション)

発表者:石井 鈴奈・根岸 広明・堀川 道晴・庄田 亜紀子・藤田 陽子・下中 麻奈美・榎本 恵・大川 莉歩・鈴木 望文

ウイメンズ・クリニック大泉学園

Abstract

【目的】

当院でのDay3胚の評価は,胚のfragmentation(以下frag.)の程度,割球の数と形態から評価し,割球数6細胞以上かつfrag.10% 以下を良好胚とし,移植対象胚としている.しかし近年,タイムラプスでの動的解析により,frag.や割球の均一性は経時的に変化することが報告されている.そこで今回,Day3 において従来通りの断片的な観察で形態評価をするに当たり,frag.の程度と割球の均一性を別々に考慮することの意義について検討した.

【方法】

2014年1月から2016年6月までに胚盤胞培養を行った39歳以下で,Day3で割球数が6細胞以上であった471周期1,582個の胚を対象とした.Day5又は6 でGardner の分類をもとにサイズ3以上,グレードBCまたはCB 以上を良好胚盤胞として凍結した.その内移植を行った胚は502個であった.今回の検討でDay3における胚の評価は,グレード(1 以下G1):frag. が0%で割球が均一,グレード2(以下G2):frag. が1%-10%で割球が均一,グレード3-1(以下G3-1):frag. が0%で割球が不均一,グレード3-2(以下G3-2):frag.が1%-10%で割球が不均一,グレード4-(1 以下G4-1):frag.が11%-50%で割球が均一,グレード4-(2 以下G4-2):frag. が11%-50%で割球が不均一の6群に分類し,胚盤胞凍結率と臨床的妊娠率について検討した.

【結果】

胚盤胞凍結率は,G1,G2,G3-1,G3-2,G4-1,G4-2でそれぞれ,76.2%(154/202),69.7%(545/782),48.1%(13/27),38.1%(69/181),58.4%(170/291),29.6%(29/98)であった.胚盤胞凍結率は多変量解析において,割球の均一性,frag.の程度のオッズ比はそれぞれ,3.27(P=3.70e-18),1.49(P=7.59e-06)であった.胚盤胞凍結率の倍率はそれぞれ,7.29倍,4.87倍,0.69倍,0.46倍,1.47倍,0.14倍であった.臨床的妊娠率はそれぞれ,42.7%(35/82),48.0%(134/279),75.0%(6/ 8),54. 8%(17/ 31),38. 6%(34/ 88),33. 3%(5/ 15)であり,有意差はなかった.

【考察】

今回の検討では,割球の均一性が最も胚盤胞凍結率に寄与し,次いでfrag.の程度であった.割球の均一性とfrag.は断片的な観察では,一時的なものかは判断できないが,ある程度の予測が出来た.胚盤胞まで発育すれば妊娠率には有意差はなかった.Day3 における胚の評価として,6細胞以上の胚では割球の均一性に重きを置いた評価法が胚盤胞凍結率を予想するのに適していると考えられた.

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