ART出生児3223名のフォローアップ:胚凍結融解が児の身体発育に及ぼす影響
2018年度 学会誌 掲載論文|Vol21-1
著者:菊地 寿美・青野 展也・中條 友紀子・服部 裕充・中村 祐介・佐々木 千紗・小泉 雅江・戸屋 真由美・五十嵐 秀樹・京野 廣一
医療法人社団 レディースクリニック京野
Abstract
本研究では体外受精(IVF)と,顕微授精(ICSI)で得られた胚の凍結融解の有無が,出生児の身体 発育に及ぼす影響について検討した.1996 ~ 2016 年の期間に ART にて出生した児 3, 223 名を対象と し,媒精方法別に凍結融解胚移植群と新鮮胚移植群に分け,平均在胎週数,出生時体重,出生時身長,低出 生体重児率,巨大児率について比較検討した.結果,IVF,ICSI ともに胚凍結融解群で有意に平均在胎週 数が長く(P< 0. 01),出生時体重が増加し(P< 0. 01),低出生体重児率が低下(P< 0. 01)した.しかし,そ の後の発育調査において,IVF では 3 か月以降,ICSI では 6 か月以降で身長,体重に有意差が無くなった. また,出生時の先天異常率に有意差は認められなかったことから,胚の凍結融解は胎児発育に何らかの影 響を与えるが,出生時の先天異常率やその後の身体発育には影響を与えないことが示唆された.