高齢患者におけるPiezo-ICSIの有用性について
2020年度 学会誌 掲載論文|Vol23-1
著者:古橋孝祐・岸 加奈子・岩崎利郎・江夏徳寿・伊藤宏一・水澤友利・松本由紀子・苔口昭次・塩谷雅英
英ウィメンズクリニック 〒 650-0021 兵庫県神戸市中央区三宮町 1-1-2 三宮セントラルビル
Abstract
ARTにおいて必須の技術であるICSIは,透明帯を押し破り卵細胞質膜を破膜するが,この破膜 には卵細胞質を吸引するconventional-ICSI(c-ICSI)とPiezoパルスを使用するPiezo-ICSI(P-ICSI) とがある.P-ICSIはヒト卵子において有用性が散見されるため,40歳以上の患者を対象とし,2018 年1 ~ 8月にc-ICSIを行った521周期,2019年1 ~ 8月にP-ICSIを行った730周期を後方視的に検 討した.比較結果は2PN率(71.3% vs 78.3% p<0.001),胚盤胞発生率(31.9% vs 43.2% p<0.01) でPiezo-ICSI群が有意に高率となった.本結果より,Piezo-ICSIの有用性が確認出来,Piezo-ICSIは 加齢に伴う脆弱な卵子において,少ないダメージでICSIが可能となり培養成績の向上に寄与出来ること が示唆された.