顕微授精後にカルシウムイオノフォア処理を行った症例の出生児長期予後
2019年度 学会誌 掲載論文|Vol22-1
著者:入江真奈美1)・樽井幸与1)・水野里志1)・藤岡聡子1)・井田守1)・福田愛作1)・森本義晴2)
1) IVF大阪クリニック
2) HORACグランフロント大阪クリニック
Abstract
顕微授精における受精障害症例の発生頻度は1~3%といわれている.このような症例に対して,顕微授精後に卵子に対してCaiなどの人為的活性化を付加することが有効な場合があるが,症例数は少なく,児の予後を含めた安全性の検証は十分とは言えない.今回我々は,顕微授精後にCai処理を実施し妊娠出産に至った症例の児に対して,出生から5 歳児までの調査を行った.対象となる23 例24 児に出生時に性別,在胎週数,奇形の有無,および出生時の身長と体重を調査し,継続調査に同意の得られた症例に対して,1 歳半から5歳までの身長,体重,および生育過程で出現した奇形を調査した.13.6 %に出生時の低体重を認めたが,その後の発育で厚生労働省平成22 年度乳幼児身体発育調査の結果によるパーセンタイル曲線内に収まっていた.よって今回の調査では出生児に対してCai処理の身体発育に対する影響は認められないと考えられた.