生まれた子供の気持ち
2021年度 年次大会-講演抄録|生殖医療の原点を考える
学会講師:福田 愛作
Abstract
海外では体外受精で誕生した子供たちがその出生の方法を隠すことは殆どありません.世界初の体外受精児であるルイーズ・ブラウンは,特別とは言え世界中で不妊治療の唱道者として活躍しています.日本では体外受精で生まれた当事者が表舞台に出たことはありません.私はこのような状態こそが日本の不妊治療を象徴していると考えています.
今回,村上学会長が「体外受精の当事者が話をする機会を設けましょう」と英断をされ,私にこのセッションを司るよう命じられました.松元まろん様に,ご両親を通じてお伺いしたところ,勇気をもって登壇する決意をしていただきました.
松元様のご両親は1999 年にIVF大阪クリニックを受診されました.PCOのため黎明期のIVMを受けられ4 回目採卵で妊娠するも流産,7回目の採卵で妊娠成立し本日の演者である松元様の出生に繋がりました.日本で6 例目のIVM 妊娠です.その後,第二子希望で来院され7回の採卵を経て次男を出産されております.
ご両親が心血を注いで不妊治療に取り組まれ,その結果出生されたお子様の生の声をお届けできればと考えています.また,今回の企画が多くの不妊治療中の患者様に対してのみならず,生殖医療を実施する我々にとっても貴重なメッセージとなることは間違いないと確信しています。