無精子症患者の悲観的自己感情の把握と治療転帰 ~無精子症患者へのカウンセリングの在り方~
2018年度 学会誌 掲載論文|Vol21-2
著者:松浦大創・奥原彩也・小熊惇平・加藤泰宏・佐藤 渚・小川奈津・野尻由香・黒田加代子・野村昌男・古井憲司
医療法人 愛育会 クリニックママ
Abstract
無精子症患者(n=36)と正常精液所見患者(n=47)に対し, 中村らの 楽観主義尺度を一部修正し, 楽観的自己感情因子と悲観的自己感情因子を比較検討した.無精子症患者(n=32)にTESE, MESAを施行し,精子凍結保存(n=15)を行った.その後ICSIを施行し,得られた胚を新鮮胚移植あるいは凍結融解胚移植をし,転帰を調査した.その結果,無精子症患者(14.6±1.6)は,正常精液所見患者(11.3±2.2)と比較して,「悲観的自己感情因子」が有意に高得点であった(P<0.05).TESE,MESAを施行した無精子症患者(n=32)のうち,精子凍結保存が可能であった無精子症患者(n=15)の出産率は46.7%(7/15)であった.無精子症患者に対し適切な情報(出産率など)を提供し, 患者の悲観的感情を軽減するカウンセリングが必要である.