Papers and Abstracts

論文・講演抄録

次世代シークエンサー(NGS)を用いた流産絨毛組織の解析の検討

学術集会 一般演題(口頭発表)

2019年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:後藤 優介1) ・寄田 朋子1) ・渡邉 華1) ・戸水 桐子1) ・田口 新1) ・原田 祐紀1) ・近藤 希衣1) ・森田 幸孝2) ・向田 哲規1)

1)広島 HART クリニック 2)ジーンリサーチ

Abstract

【目的】
初期流産の原因のうち約60%が染色体の数的異常が原因と言われて おり, 年齢の上昇に伴いその割合も増加していく.現在, 流産絨毛組 織 の 染 色 体 解 析 は G-BAND 法 が 一 般 的 にもちいら れて い る. G-BAND 法では解析時に細胞の培養が必要となり, 結果が得られる まで一般的に2 ~ 3週間かかり, 細胞の培養が不成功の場合は解析が できない可能性がある.一方で近年PGTなどに用いられる次世代シー クエンサー(NGS)による流産絨毛組織の解析が可能となっている. NGSでは G-BAND 法で必要な細胞培養は必要なく, より迅速な解 析が可能である.今回当院における流産絨毛組織のNGS 解析を行っ たので報告する.

【対象と方法】

2018年10月~ 2019年6月に流産手術を行い,流産絨毛組織が確認で きた9症例について NGSにより解析を行った.このうち1症例は 2段階 胚移植後, 胎嚢が2個確認できたがその後2個とも発生停止となった為 2つの絨毛組織を解析した.採取した組織は絨毛組織の確認後,血液 成分等を除去したのちに組織の一部を解析に使用した.NGSの解析 は外部解析機関に委託した.

【結果】
平均年齢は 39.3歳だった.NGSによる解析の結果,Normalが 40% (4/10),Abnormal が 60%(6/10)であり, 解析不能症例はなかった. 各染色体の異常頻度は 2番染色体の Trisomyが1例,13番染色体の Trisomy(partial)が1例,16番染色体のTrisomyが3例,20番染色体 の Trisomyが1例だった.性染色体は XX が 80%(8/10),XYが 20% (2/10)だった.

【結論と考察】
今回の結果からNGSで流産絨毛組織の解析が問題なく行えること が示唆された.NGSではG-BAND 法で行う細胞培養が必要なく,より迅速な解析結果が得られると考えられる.また,顕微鏡下で絨毛組 織を確認し,その一部の細胞のみで解析が行える為,母体由来細胞の 混入を減らせることができ,より正確な解析が可能であると考えられる.

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