当院ARTにおける培養液別にみた出生児体重の比較検討
2018年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:中岡 優希1)・己斐 秀樹2)・有地 あかね1)・大村 直輝1)・村松 裕祟2)・佐々木 博1)・大原 基弘2)・依光 毅1)・清水 康史1)・河村 寿宏1)
1)田園都市レディースクリニック
2)田園都市レディースクリニック二子玉川
Abstract
目的:生殖補助医療(ART)において胚の培養の際には、様々な種類の培養液が用いられているが、培養液の違いが出生児の平均体重に与える影響は明らかではない。そこで当院ARTに用いている培養液の違いが妊娠、出産に至った症例の出生児平均体重に影響があるか後方視的に比較、検討を行った。
方法:2004年2月~2016年12月に当院の凍結融解単一胚盤胞移植にて単胎妊娠し、正期産で自然分娩、第1子分娩報告のあった1517周期を対象とした。培養液はLifeGlobal社global medium(GL群:537周期)、global total medium(GLT群:523周期)、Cook社cook medium(CO群:321周期)及びOrigio社MediCult medium(MC群:136周期)を用い、出生児の男女別に比較、検討を行った。
結果:各群における母体の移植時平均年齢は、男児でGL群:34.8±3.6歳, GLT群:35.2±3.7歳,CO群:34.7±3.8歳,MC群:34.6±3.5歳、女児でGL群:35.0±3.5歳, GLT群:35.1±3.8歳,CO群:34.8±3.8歳,MC群:33.9±3.5歳であった。平均在胎日数は男児でGL群:277.3±8.1日, GLT群:276.9±7.4日,CO群:276.2±7.1日,MC群:274.8±8.1日、女児でGL群:278.7±7.5日, GLT群:279.0±7.3日,CO群:278.8±6.6日,MC群:278.0±7.5日であり、母体の移植時平均年齢および平均在胎日数に有意差は認められなかった。出生児平均体重においても男児でGL群:3137.6±363.9g, GLT群:3155.6±368.5g,CO群:3197.6±361.9g,MC群:3108.4±319.8g、女児でGL群:3038.2±364.1g, GLT群:3072.5±331.9歳,CO群:3094.5±324.9g,MC群:3021.2±337.8gであり有意な差は認められなかった。
考察:本検討に用いた培養液の違いは、出生児体重へは影響を与えないことが示唆された。今後も症例数を集積し、さらなる検討を行うとともに、近年ARTに用いられる培養液はその種類も組成も多様化していることから、検討対象を本検討に用いた培養液以外にも広げていく必要があると考えられる。