当院20年間の成績からみた少数 採卵症例の予後について
2017年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:尾瀬 武志・安藤 寿夫・鈴木 範子・皆元 裕子・甲木 聡・藤田 啓・矢吹 淳司・梅村 康太・岡田 真由美・河井 通泰
豊橋市民病院総合生殖医療センター
Abstract
【緒言】
調節卵巣刺激の結果,採卵数が1個もしくは2個だった場合の予後は,患者への情報提供において重要であり,今回検討した.
【方法】
当院の20年間4,192採卵周期のうち採卵数が1個または2個だった912周期(21. 8%)について分析した.
成熟卵の定義は,MII 期を経ていることが確認または推定される卵子とした.
【成績】
採卵数が1個だった553周期のうちその1個の卵子が成熟卵だったのは355周期(64. 2%)であり,受精卵ありは291周期(52. 6%),受精卵が2PNだったのは264周期(47.7%)となった.さらに新鮮胚移植実施は201周期(36. 3%),融解胚移植(以下T-ET)は15周期(2. 7%)となり,臨床妊娠(化学流産を含めない)は23周期(4.2%,T-ET1周期含む),生産まで確認
されたのは16周期(2.9%,T-ET1周期含む)で,2胎1例を含む17生児のみであった.
同様に採卵数が2個だった359周期のうち,少なくとも1個の卵子が成熟卵だったのは306周期(85.2%)であり,そのうち受精卵ありは269周期(74.9%)であった.
臨床妊娠は31周期(8.6%,3周期はT-ETで臨床妊娠,1周期は新鮮胚移植・T-ET両方臨床妊娠),生産まで確認されているのは20周期(5.6%,1周期はT-ET生産,1周期は新鮮胚移植・T-ET 両方生産)で21生児のみであった.1個採卵の場合は2個採卵と比較して妊娠率(P<0. 05)生産率(P<0. 05)ともに低率だった.
【結論】
採卵数が目標に届かず2個以下だった場合の予後は予想通り不良だったが,そのような周期でも1個よりも2個の場合の方が少しは良い成績が期待できることが明瞭に示された.