当院におけるBMIとART 臨床成 績の関連性
2016年度 学術集会 一般演題(ポスターセッション)
発表者:浅間 勇人・橋爪 敦子・前多 亜紀子・西出 博美・丹羽 幸子・星野 智佳・谷内 文佳・北川 真悠子・上林 大岳・道倉 康仁
金沢たまごクリニック
Abstract
【目的】
やせや肥満は妊娠や流産に影響を与える要因の一つとされている.そこで今回,BMI を指標として当院のART 臨床成績を検討した.
【方法】
2016年1月1日から2016年5月31日の間に当院にて単一胚移植を行なった536周期を対象とした.BMIが20未満をA 群163周期(30.4%),20以上25未満をB 群309周期(57. 7%),25以上をC 群64周期(11. 9%)とした3群に分類し,妊娠率(GSの確認をもって妊娠とした)と流産率を比較検討した.さらに年齢別(採卵時38歳未満,39歳以上),移植周期別(新鮮胚移植,凍結融解胚移植ホルモン補充周期以下HR 移植)で妊娠率と流産率を比較検討した.
【結果】
A・B・C 群の妊娠率はそれぞれ16.0%(26/163),19.7%(61/309),15. 6%(10/ 64),流産率は19. 2%(5/ 26),21. 3%(13/ 61),0%(0/ 10)であった.38 歳未満における妊娠率は22.6%(21/93),25.2%(43/171),19. 1%(4/ 21),流産率は23. 8%(5/ 21),16. 3%(7/ 43),0%(0/ 4)であった.39歳以上における妊娠率は7.1%(5/70),13.0%(18/138),14.0%(6/43),流産率は0%(0/5),33.3%(6/18),0%(0/6)であった.年齢別での妊娠率にA・B 群で有意差を認めた(p<0.05).新鮮胚移植の38歳未満におけるA・B・C 群の妊娠率はそれぞれ13.9%(5/36),14.1%(12/85),25.0%(3/12)であった.39歳以上におけるA・B・C 群の妊娠率は3.1%(1/32),15.9%(7/44),26.3%(5/19)であった.39歳以上のA 群とC 群で妊娠率に有意差を認めた(p<0.05).HR 移植の38歳未満におけるA・
B・C 群の妊娠率はそれぞれ28.1%(16/57),36.1%(31/86),11.1%(1/9)であった.39歳以上におけるA・B・C 群の妊娠率は10.5%(4/38),11.7%(11/94),4.2%(1/24)であった.年齢別での妊娠率にA・B 群で有意差を認めた(p<0.05).また,すべての群で流産率に差が認められなかった.
【考察】
新鮮胚移植においては,39歳以上でBMIの減少に伴う妊娠率の低下がみられた.HR 移植において,BMI25以上で年齢による差が認めなかったのは,38歳未満のBMI 高値での妊娠率の低下が要因であると考えられる.今回の検討から,移植周期や年齢によって異なる結果が認められたものの,当院においても,やせや肥満が妊娠率を低下させる要因となることが示唆された.だが,流産率には関連性が認められなかった.今後はさらに症例数を増やし,移植周期や年齢によって結果が異なる要因を検討していきたい.