子宮腺筋症の大きさは妊娠率に負の影響を与えるが 卵巣子宮内膜症性嚢胞は影響しない
2020年度 学会誌 掲載論文|Vol23-2
著者:山田 聡・江夏 徳寿・苔口 昭次・塩谷 雅英
英ウィメンズクリニック 〒 650-0021 兵庫県神戸市中央区三宮町 1-1-2 三宮セントラルビル
Abstract
子宮内膜症を有する不妊患者に対しては症例ごとに薬物治療や手術療法の適応を考える必要 があるが,その判断基準はいまだ明確ではない.本研究は当院において凍結胚移植した子宮腺筋症と卵巣子宮内膜症性嚢胞(以下,内膜症性嚢胞)を合併する子宮内膜症1787周期について生化学的妊娠率,臨床妊娠率及び流産率に対する影響を,重症度との関連を含めて後方視的に検討した.子宮腺筋症は生化学的妊娠率,臨床妊娠率を有意に低下させ,大きさは妊娠に影響した.子宮腺筋症は大きさに関わらず流産率には影響しなかった.内膜症性嚢胞は嚢胞径に関わらず生化学的妊娠率,臨床妊娠率を低下させなかった.しかし流産率に関して,内膜症性嚢胞は腫瘍径に関係なく流産率を上昇させる可能性を否定できなかっ た.