Papers and Abstracts

論文・講演抄録

子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の対応

岡田	英孝

2023年度 年次大会-講演抄録シンポジウム2:着床障害の原因と治療

学会講師:岡田 英孝

Abstract

子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫は、子宮内腔の構造変化や内膜機能の異常により、着床障害の原因となる。これらは、産婦人科診療で頻繁に遭遇する疾患で、不妊症以外にも異常子宮出血の要因となる。着床障害の原因としては、内腔の変形だけでなく、子宮内膜の炎症性変化、ホルモン感受性障害、胚受容能のズレ、血流障害、子宮収縮異常、胚移動障害などが挙げられ、着床率・妊娠率を向上させる目的で、子宮内膜ポリープや子宮筋腫を切除・除去している。
子宮内膜ポリープは、経腟超音波検査で高輝度を示し、ポリープが疑われたら、悪性を否定するために適宜内膜検査を行う。ソノヒステログラフィー、子宮鏡検査で診断して、子宮鏡手術・ポリープ除去術を施行する。
子宮筋腫は、経腟超音波検査でやや低∼高輝度を示し、上記検査に加えてMRI検査が診断に有用である。子宮筋腫に対する薬物治療や子宮動脈塞栓術は着床率向上に寄与せず、子宮筋腫摘出・核出術は、不妊症あるいは着床障害への治療適応を慎重に判断して施行する。手術の要否は、明確な基準はないが、筋腫の部位(内腔への圧排)、大きさ、性状、個数、年齢、不妊期間や治療歴、症状、既往の妊娠・分娩・産褥経過を考慮し決定する。さらに、術前の胚凍結の選択肢についても十分検討する。子宮鏡下子宮筋腫摘出術、腹腔鏡あるいは開腹の筋腫核出術の術式は、子宮筋腫の長径、個数、子宮内腔への突出度から判断している。粘膜下筋腫に対する子宮鏡下手術の適応は、筋腫径30㎜以下かつ突出度が50%以上を目安とする。
本講演では、当科での症例やデータを提示しながら、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の対応を概説したい。

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