収縮/ 拡張中状態での胚盤胞凍 結が融解後の生存率,妊娠成績 に与える影響に関する検討
2017年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:村松 裕崇1)・大原 基弘1)・有地 あかね2)・伊藤 かほり1)・大村 直輝2)・小峰 祝敏2)・工藤 祐輔2)・門前 志歩1)・蓮井 美帆1,2)・己斐 秀樹1,2)・河村 寿宏1,2)
1)田園都市レディースクリニック二子玉川
2) 田園都市レディースクリニック
Abstract
【目的】
胚盤胞凍結時のグレード判定の際にICM/TE判定は可能だが収縮/ 拡張中の囲卵腔が確認できる胚盤胞やグレード判定から凍結開始の間に完全収縮を起こしてしまう胚盤胞もある.
そのような胚盤胞状態であってもグレード判定ができていればそのまま凍結を実施している.
今回,凍結開始時にこれら収縮/ 拡張中または完全収縮してしまった状態で凍結をした胚盤胞が融解後の生存率,妊娠成績にどのような影響を与えているか検討した.
【方法】
2014年1月から2017年3月までに当院で凍結単一融解胚盤胞移植を目的としDay5胚盤胞を融解した5,185周期を対象とした.
凍結時年齢が34歳以下(A 群),35歳から39歳(B 群),40歳以上(C 群)の3群に分け,それぞれ凍結観察時の胚盤胞状態(拡張・収縮/ 拡張中・完全収縮)ごとの融解後の生存率,臨床妊娠率を検討した.凍結融解方法はCryotopを使用し,胚盤胞グレードはGardnerらの分類で行った.
生存率は融解後,移植が可能となった胚盤胞を生存胚とし,変性し移植キャンセルとなった胚を非生存胚とした.
【結果】
融解後の生存率に関しては全ての群の凍結時胚盤胞状態で差はなかった.
臨床妊娠率はA 群で58.9%(842/1429)vs56.0%(28/50)vs0%(0/6),B 群で46.8%(992/2120)vs45.1%(41/91)vs23.1%(3/13),C群で30. 4%(415/ 1367)vs 25. 6%(23/ 90)vs14. 3%(2/ 14)であった.
34歳以下群の拡張及び収縮/ 拡張中vs 完全収縮で有意差が認められた.
他群においては凍結時胚盤胞状態の違いによる有意差は見られなかったが,完全収縮した胚盤胞において臨床妊娠率が低下する傾向が見られた.
【考察】
融解後の生存率に関して凍結時胚盤胞状態の違いによる差はなかった.
しかし臨床成績においては完全収縮してしまった胚盤胞に関して低下する可能性があり,複数の凍結胚盤胞があれば移植胚の選択の際に考慮する必要があると考えられた.