卵管液組成に基づくシングルメディウムを用いた 受精卵培養の検討
2020年度 学会誌 掲載論文|Vol23-1
著者:白岩 優綺・佐東 春香・田中 里美・古橋 孝祐・岩﨑 利郎・伊藤 宏一・水澤 友利・松本 由紀子・苔口 昭次・塩谷 雅英
英ウィメンズクリニック 〒 650-0021 兵庫県神戸市中央区三宮町 1-1-2 三宮セントラルビル
Abstract
HiGROW OVIT PLUS(以下OVIT)は日本卵子学会と扶桑薬品工業の共同開発で作られた シングルメディウムである.特徴として卵管液組成に基づき,既存の培養液に比べ必須アミノ酸濃度は低く, 非必須アミノ酸濃度は高く設定され,タウリンを高濃度に配合している.今回,既存の一般的なA社のシン グルメディウムと,OVITの培養・妊娠成績を比較検討した.2018年8 ~ 12月までにARTを行い,受精判定時に2PNが4個以上得られた161周期を培養成績の対象とした.同一患者から得られた胚をA社 群と,OVIT群に分けsplit培養を行った.また凍結融解胚盤胞1個を移植した155周期の妊娠成績につい ても比較を行った.本検討結果より培養・妊娠成績の全ての項目で両群間に有意差を認めなかったこと から,OVITは既存の一般的なシングルメディウムと同等であることが示された.