―総説― 着床不全とNatural Killer細胞異常~イントラリピッド療法と免疫グロブリン療法の効果~
2023年度 学会誌 掲載論文|日本IVF学会雑誌 Vol.26 No.2 47-52
著者:山谷文乃・福井淳史・柴原浩章
兵庫医科大学医学部 産科婦人科
Abstract
胚が子宮内膜に着床する過程で、免疫反応はなくてはならないものである。着床周辺期のNatural Killer(NK)細胞は子宮内膜のリンパ球の約70%を占め、着床において重要な役割を示し、その異常は末梢血・子宮内膜双方で起こりうるもので着床不全との関連性が報告されている。NK細胞異常は主に免疫過剰状態であることが報告されているが、免疫不活化状態でも着床不全になることが知られている。その治療法として、その免疫状態に合わせ活性化させる治療と抑制する治療が挙げられる。我々はNK細胞の細胞傷害性の強い着床不全患者に対して静脈内免疫グロブリン(Intravenous Immunoglobulin: IVIG)療法とイントラリピッド療法の比較試験を行い、双方とも遜色ない良好な結果が得られた。今後は十分なコンセンサスが得られるようデータの集積が課題である。
キーワード:Natural Killer細胞、イントラリピッド、静脈内免疫グロブリン、着床不全
ランニングヘッド:着床不全とNK細胞異常、脂肪乳剤とIVIGの効果