Papers and Abstracts

論文・講演抄録

―総説― エビデンスに基づいた卵巣組織凍結(OTC)/移植(OTT)施設の集約化: 少子高齢化の日本で求められる費用対効果と高品質

学会誌 掲載論文

2023年度 学会誌 掲載論文日本IVF学会雑誌 Vol.26 No.2 4-10

著者:京野 廣一1),2) ・橋本 朋子2) ・熊谷 仁3) ・五十嵐 秀樹4) ・長谷川 明俊5) ・杉田 匡聡6) ・島田 昌之7) ・馬場 長8) 

1)京野アートクリニック高輪,2)日本卵巣組織凍結保存センター(HOPE),3)京野アートクリニック盛岡,4)京野アートクリニック仙台,5)川崎幸病院婦人科,6)NTT 東日本関東病院産婦人科,7)広島大学大学院統合生命科学研究科,8)岩手医科大学産科婦人科

Abstract

20例以上卵巣組織移植(OTT) 経験のある5施設の285女性へのOTT成績(2021)は患者当たり38%(106/285)の妊娠率、26%(75/285)の生産率であった。出産例の凍結 (OTC)時年齢は26.9±0.7歳と若く、69%は自然妊娠によるものであった。OTTの81.2%は早発卵巣不全症例に行われ、残りの18.8%は月経不順かつART不成功例に実施されている。移植部位は血流の多い卵巣断端あるいは腹膜ポケットに凍結組織量の1/3~1/2を移植する。自然妊娠を念頭におき、移植時の卵管疎通性と精液検査は必須である。35歳未満のがん患者は高リスクの化学療法前にOTCを実施する。子宮への放射線療法>25 Gyの場合には移植は推奨されない。少子高齢化の日本において搬送によるOTC/OTT施設の集約化はデンマークやFertiPROTEKTの費用対効果・高品質・高成績が示す通り不可避である。

キーワード:施設の集約化 出産 少子高齢化 卵巣組織移植 卵巣組織凍結

ランニングヘッド:施設の集約化による質と費用対効果と出産成績の向上

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